STORY

東京のフォト・ギャラリーでは、新進気鋭の写真家、春馬(はるま)の個展が開催されている。山梨県立写真美術館のキュレーターの怜はたまたま入ったギャラリーで、春馬の写真に心を奪われる。ギャラリーを出るとき、すれ違った春馬の眼差しに心を惹かれた怜は、翌日、春馬に連絡をとり、撮影を依頼。「何も訊かないこと」「ネガをもらうこと」を条件に、自分の性器を撮ってくれと怜は春馬に切り出す。突然の依頼に戸惑う春馬だったが、アトリエが夕陽につつまれたとき、春馬は怜の性器に向かってシャッターを切る。次の週も怜から撮影依頼が入る。

春馬は、いままで自分が撮っていた植物写真と女性性器写真の関連に気づき、怜がこのような写真を依頼する謎を解くため、しだいに撮影を待ち侘びるようになる。
二度目の撮影が終わったとき、これでもうこの女に会えない……と思った春馬はひそかに怜のあとを尾ける。怜は山梨県立写真美術館に入ってゆく。そこでは怜が企画した評論家・四方田犬彦による「芸術史における女性性器の表現」についての講演が行われていた。
春馬は四方田のレクチャーを聞き、怜が春馬の写真と出会った瞬間、自分の体を使ってマッケローニと同じことをしようと思い立ったことを知る。一方、約束を破り、自分の素性を探った春馬にいったんは腹を立てた怜だったが、「やっと自分の被写体を見つけた」「作品を完成させたい」という春馬の真摯な思いに魅せられ、撮影を再開する。

春馬には夏生(なつき)という妊娠中の彼女がいる。やがて怜の存在を知ることになる夏生は、春馬と怜の創作作業に立ち入れない自分に対し、しだいに歯がゆさを募らせていく。春馬、怜、夏生。交錯する3人の愛は、果たしてどこへ向かうのか--。